コミサポ2004年12月号
ストレスにまつわる病気
過敏性腸症候群

下痢や便秘を繰り返す方は要注意

最近、「過敏性腸症候群」という言葉を耳にしたことはありませんか。
これは職場や学校、家庭などの人間関係や、転職、昇進、結婚などの環境の変化など、さまざまなストレスがおなかにきて腹痛や下痢、便秘といった便通異常が引き起こされる状態をいいます。

朝、通勤のため電車に乗ると決まってトイレに行きたくなる、テストや何かの発表の前には必ずおなかが痛くなる。
このような経験がある方は"過敏性腸症候群"の疑いがあります。

早めの対応をおすすめ

過敏性腸症候群はIBS(Irritable Bowel Syndrome)ともいわれ、読んで字のごとくストレスなどにより腸が過敏になって起こる病気です。
性格的には神経質な人、まじめな人、内向的な人、正義感が強い人などに起こりやすく、男性よりも女性に多いといわれています。

この疾患は下痢を主体とする下痢型、便秘を主体とする便秘型、下痢と便秘の両方を繰り返す交替型の三つに分けられ(表1)、男性は下痢型、女性は便秘型になりやすい傾向があります。

表1・過敏性症候群 三つのタイプ
?便秘型
コ□コロした兎糞状の便が出て、腹痛を伴います。
女性に多い傾向があります。

?下痢型

持続的な下痢便のある症状です。軟らかい便から、
水っぽい便、粘液状の便とその状態はさまざまです。
男性に多い傾向があります。

?便秘・下痢交替型

便秘したり下痢をしたり、便通が一定でない症状で
す。

※他にもお腹が張った感じやゲップ、お腹がゴロゴロする(腹鳴)、オナラなど症状が強いものも過敏性腸症候群の特徴の一つです

特に下痢型の人は前述の通り、朝の通勤、通学時に急にトイレに行きたくなったりしますので、これが大変ストレスとなり、生活そのものに大きな影響を及ぼすことも少なくありません。

また、便秘型も長く続けばまれに痔になるケースもありますので、早めの対応をお勧めします。

この病気は検査をしても特に異常が見つからないので、「気のせい」、「神経的なもの」として片付けられることもありました。
しかし、きちんとした治療を行っていかないと、どんどん重症化して、入院してしまう場合もありますので、注意が必要です。
簡単なチェック項目を挙げてみました(表2)。
気になる人はチェックしてみてください。

治療の第一はストレス解消

治療としてまず重要なのは、ストレスをできるだけ軽くすることです。
適度な運動、十分な睡眠、規則正しい食生活、きちんとした排便習慣などを心掛けるようにしましょう。
食事の内容にも気を付けることが大切です。
下痢型の人はコーヒーや香辛料など刺激のあるものを控え、便秘型の人は食物繊維を多く取るようにするとよいでしょう。

これでもよくならないときは、薬剤を服用する場合もあります。
最近では"ポリカルポフィルカルシウム"という食物繊維を強力にしたようなよい薬剤も出ています。

過敏性腸症候群は、ますます増加している病気できちんとした対応が必要です。
自己治療に頼らず、早めに専門医を受診することをお勤めします。