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第九回 医師不足

医師不足 熱意だけでは 疲弊する

 日本には二十万八千人(二〇〇六年末)の医師がいるが、わが国における医師不足はかなり深刻だ。
経済協力開発機構(OECD)によると、二〇〇六年の人口千人当たりの医師数は日本が二・一人で、ドイツ三・五人、フランス三・四人、米国二・四人などと比べると少ない結果となっている。
特に産科、小児科、救命救急、地方病院などでの医師の不足は、より顕著である。

 病床数に対しての医師数となると、もっと深刻な数値が浮かび上がる。
病床百床当たりの医師数は、米国七十七・八人、イギリス四十三・九人、ドイツ三十九・六人、フランス三十五・二人なのに対し、日本は十五・六人である。
これでは良質な医療などおぼつかない。
医師の不足は実りある医療を推進していく上で支障になる。
医師不足を解消し、医師の地域医療や医療機関への適正配置がなされることは、医療インフラの基本の一つであろう。

 今日の少子高齢社会、地域間格差などの社会的現実における問題を背にして、わが国の医師不足の現実は由々しい事態といえる。
医師不足は、さまざまな局面で医療崩壊の大きな要因となる可能性を秘めているのだ。
このままではやがて(といっても近い将来)、医療現場からも、ひいては患者からも悲痛な叫びが聞こえてくることになる。
いや、すでにそれが原因の一つとなって、日本の医療は確実に疲弊、崩壊の道を歩んでいるのだ。
だとすれば、医師の増員は急がなくてはなるまい。そのため、政府も対策に乗り出した。

 先ごろ、厚生労働省の「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化に関する検討会の中間報告では、今日の医療体制の見直し策を公表した。
この中に「将来は医師養成数を五〇%程度の増加を目指す」「外科をはじめ高度な医療技術を評価する技術料導入の検討」「産科、救急など医師不足の診療科の医師に直接手当を支給」など医師不足解消にかかわる提言が盛り込まれた。

 その中での医師養成に関する提言は、手当てなど報酬によってモチベーションを上げようとする施策とは別に、より具体的な増員計画といえるだろう。
これは医学部定員を今後十年間、毎年四百人ずつ増員し、十年後に総定員を一万二千人まで増やすという計画である。
これによって二十年後に千人当たりの医師の数がOECD平均並みに届くと推計されるということだ。
さしあたり来年度から医学部定員は厚生労働、文部科学両省の合意の下、過去最大の八千三百人程度まで増やす方針だという。

 これまでも医師の養成数については増員が必要という認識で一致していたので、医師不足解消に向けて具体的に明文化され、指針が示されたという点では一定の評価に値するといえるかもしれない。
だが、教育の質と教育現場の疲弊の可能性の検討、財源の確保や診療報酬の引き上げで増える見込みの収入を、医療機関と勤務医でどうシェアするかなどについては踏み込んでいない。
その意味で、まだまだこれからの道のりの入り口に立ったにすぎないのだ。

 そして医療現場の現実はといえば、

 「医師不足 熱意だけでは 疲弊する」

 こんな状況にあるのではないだろうか。
もちろん、多くの医師たちが、職務に対する責任感にあふれ、まじめに医療に取り組んでいる。
しかし、「悲痛な声なき声」を解消し、ゆとりある医療の実現を目指すための手だてを、真剣に講じなければならない時期にある。