会津若松市のえんどうクリニック(遠藤剛院長)が、医療事故防止のための対策マニュアルを作った。 医療事故や、医療現場で「ヒヤッ」とした経験などの報告書(インシデント・リポート)も活用し、日々の診療に役立てている。 大病院の対策マ二二アルや事故報告書は珍しくないが、開業医が運用する例は少ない。 専門誌で発表したところ各地から問い合わせが寄せられているという。 えんどうクリニックは胃腸科、肛門科など消化器系が中心で、ベッド数10床の小規模な医院だ。 遠藤さんは相次ぐ医療事故の報道をみて、開業医も対策が必要だと痛感し、ともに働く看護師とマニュアルづくりに取り組んだ。 内容は看護師の処置に関するものが中心だ。まず、起こり得る事故を ?輸液(点滴) ?麻酔 ?注射 ?検査 ?院内感染 ?与薬(間違った薬を渡していないか、など) ?患者誤認 の7項目に大きく分けた。 次いで、各項目の実施場面の注意事項や、機材の消毒方法、洗浄方法などを列挙した。 「カルテの確認-同姓同名に注意する」 「口頭指示はすぐにメモをとる」 など、分かりやすい言葉でまとめてある。 また、事故報告書には、事故やニアミスの発生時の担当者の勤務状況、健康状態を含めて記・述を求め、原因の分析や事後の対応策も書き込むようにしている。 遠藤さんは 「事故対策は開業医も例外でない。 導入したばかりだが、トラブルが発生したら、なぜ起きたか、再発防止はどうするかを考え、その都度、マニュアルを見直したい」としている。 医療事故対策に詳しい、おおしろクリニック(大阪市)の大城孟院長(循環器外科)は 「大病院と違い、スタッフがお互いに顔を知っている医院で、マニュアル化がどの程度有効か、現段階で判断するのは難しい」という。 ただ、大城さんは事故報告書の作成を評価。 「報告をもとに対策を議論していけは、常に医療スタッフが事故対策を意識するようになり、効果が出るだろう」 と話している。