心身医療を併用して医療費を削減

産経新聞 ...
医療費が高騰を続けるなかで、日常診療においても医療経済的な視点が求められるようになっている。
ストレス時代、一般内科を受診する患者の半数になんらかの心身医療を必要とするという。
現代は情報化時代であり、ストレスもたまる。

家族間でもコミュニケーションがうまくいっていない。
「三時間待って三分の診療」という多忙な診療で、どうして心身の関連性を説得できるか。
救急車で運ばれる患者の30%はノイローゼ的疾患という。

われら一線の救急医が遭遇する過敏性腸症候群、気管支ぜんそく、自律神経失調症などは、血液検査やレントゲン検査などで 異常は判断できない。
だが、「だから病気ではない」とはいえない。

ある報告によれば、高血圧、胃炎、消化性かいよう患者のなんと90%が自分の病気とストレスとは関係があると内心思っている。
しかし、診療の中では医師とストレスに関する話をしていない患者が高血圧患者で感60%、胃炎、消化性かいよう患者では40%にものぼるという。

逆に考えると、医師側が患者側のストレスに対する関心や認識に十分にこたえていない。
一方でこれらの問題は特異的というよりは、いわゆる心身のストレス要因として非常に重要だと理解しておいた方がよいかもしれない。

一般に日常のストレスの原因として考えられている飲酒、喫煙、睡眠の乱れ、仕事上での多忙や責任、食習慣の乱れなど は、疾患特有もしくは臓器特異的なストレスとは考えにくく、 心身全体に及ぼす日常生活のゆがみと考えられる。
どのような身体病に対しても、これらの要因は病的に作用する可能性がある。

これからの医師、いや医療は、患者の「病気」だけに目をとらわれずまた、身体面からの検査や治療だけでなく、その患者個々の「ライフスタイル」や「対人関係」についても、初診の問診の時点から特に詳しく探ってゆかねばなるまい。

心身医学的治療では、体の症状を取り除くだけでなく、病気に関連した生活環境、本人の生活習慣や適応様式、性格傾向などの改善についても援助するので、本当の意味での治療に至ることが多く、症状の再発を防ぎ真の健康の現実が促進される。

そういった心身医療を取り入れた全人的医療は長期的な視点から見れば、むだな医療費を削減し、医療費の抑制をもたらすことが期待される。