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雑誌インタビュー・執筆情報
週間朝日増刊号 漢方 2001.4.5

いろいろある有力な漢方処方裂肛の陣痛解消に芍薬甘草湯

【患者】 四十歳の女性。身長156センチ、体重50キロ。初診は1997年2月。
若いころから便秘に悩んでいる。
【症状】 十年前に出産してから痔疾を患っていた。
排便時の脱出、出血、かゆみ、.痛みを訴えて来院。

複数の医療機関で治療を受けていたが、効果は一時的で、とくに冬場になると症状がぶり返していた。
痔疾の治療とともに漢方薬での体質改善を希望していた。
【漢方的特徴】 下腹部に抵抗・圧痛があり、舌は暗紅色で、舌下静脈の怒張も認められたことから、お血(おけつ)の証(微少循環障害)と判断した。

また舌苔(ぜったい)があり、軽度の胸脇苦満(きょうきょうくまん)も認められたため、駆お血剤と柴胡(さいこ)剤の適応と考えた。
【治療経過】 肛門周囲に鬱血(うっけつ)が認められ、痛み、出血を伴っていたことと、便秘傾向があることから、従来の薬剤に加えて乙字湯(おつじとう)を投与した。

便が軟らかくなり、通じもよくなるにつれ排便痛がなくなった。
三年経過したが再発は認められず、冷えによる悪化や便秘による裂肛の誘発などの悪循環を断ち切ることができ、患者さんもたいへん喜んでいる。
【漢方治療のポイント】 痔疾患(痔核)は国民病ともいわれ、肛門疾患の70%以上を占めている。
最も多く用いられている乙字湯は、便秘の改善や排便痛などに効果があり、裂肛の予防もできる。
また、脱肛や痔出血などでの疲労倦怠には補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、出血には帰膠艾湯(ききょうがいとう)がよく用いられる。

痔瘻は手術が中心となるが、漢方薬を服用すると、思わぬ効果が見られることがあるので、手術前に服用してみるのもよいだろう。

裂肛は慢性化し、深い潰瘍になった場合などは外科的処置が必要となるが、新鮮で浅い裂創の場合には薬物療法と生活指導を組み合わせた保存的治療で対応するのが一般的である。

裂肛に伴う内肛門括約筋の痙攣(けいれん)に対して、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)が効果を発揮することが確認され、筆者が「メディカル朝日」(2001年3月号)にも詳しく紹介している。
これは本邦初の報告例と思われる。

なお、芍薬甘草湯については、こむら返り、腹痛、月経困難症、尿路結石、上部消化管や大腸の内視鏡検査時の苦痛など、種々の筋痙攣による疼痛に有効であることが数多く報告されている。

漢方薬には、冷えなどの体質を改善する効果があり、再発予防にもなるので、手術後にも服用を続けるとよいだろう。