日本のクリニック最前線を訪問
各部門のスタッフによる共同制作で提供する『まごころ医院新聞』「患者さんにとって医療情報はまだ非常に少なく、医療サービスを受ける際の判断の選択肢がそれほどありません。そのため、医療に対しては敷居が高いというイメージが依然あると思います」。 遠藤理事長がかねてより、医療を提供する上で障害になっていると感じていたことの一つです。 そこで、医療提供側と患者さん側との情報の非対称性を少しでも解消しようと始めたのが、独自の院外広報誌「まごころ医院新聞」の発行でした。 医療をもっと身近に感じ、健康意識を高めてもらいたいという願いを込めて21世紀を迎えた年に創刊し、患者さんの目線に合わせて医療関連情報を発信してきました。 A4判8〜12頁、やや厚めの紙にカラー刷りで、編集は理事長はじめ看護師、事務、厨房スタッフなどで分担します。 そのため、専門的でありながら一般の人にも分かりやすく疾病を解説したコーナーや、生活習慣、食生活に関する注意点、保健機能食品、サプリメントの解説、アロマセラピーの紹介、医療保険の公費負担や高額療養費制度、税制の医療費控除の仕組みの説明など多彩な構成になり、読み手を飽きさせません。 また、内視鏡検査等の内容や実施手順も説明しているので、クリニックのパンフレットの役割も果たします。 「『まごころ医院新聞』は、待合室では患者さんの緊張を解きほぐすツールになり、診察室にはより円滑なコミュニケーションをもたらしてくれます。 私たちの写真も載せてあるので、初診の患者さんから初めて会った気がしないと言われることもあります」と理事長。 さらに、「パソコンが普及しネット社会と言われますが、ある程度見る人が限られます。 紙ベースの情報媒体はだれでも繰り返し読んだり、茶の間に集った家族みんなで読むこともできますから」と有用性を確信しています。 全国コンペで特別賞を受けるレベル『まごころ医院新聞』は、2006年社内報や広報誌の全国コンクールである「全国社内誌企画コンペティション」で審査員特別賞を受賞しました。企画力や掲載内容を競った結果ですが、大手企業などから400件近い応募があったなか、発行5号目で初応募・初受賞という快挙になりました。 これからの情報提供に関して理事長は、「医療機関・医師は、何かできるか、何かできないかを患者さんに明確に示すことがますます重要になるのではないか」という考えを持っています。 「当新聞には、『私のところで対応できることはきちんとお伝えしています。 それ以外の医療は提供できませんので、必要があれば他の適切な医療機関を紹介します』というメッセージも込めています」。 広報誌を通じた情報提供とともに、診療が終わった後、隔週木曜の夕方にカンファレンスルームを開放して行う「健康セミナー」は、もう800回を超えて患者さんとの距離を縮めています。 講演のほか、ふだん外来では話しにくいことや心配事など患者さんの相談にも応じるのですが、その内容は医療の話にとどまらず、家庭問題や仕事上の悩み事にも及びます。 外来患者数が1日平均約140人にのぼり、1人あたりの診療時間が限られてしまうため、この健康セミナーは一人ひとりの患者さんの話をじっくり聞くための大切な機会になっています。 様々な形で情報発信し地域に貢献
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