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先生の医療記事新聞集

毎年受診する人の早期発見が増える
福島民友

大腸がん検診五年間の成績

郡山市の大腸がん検診も本年度で七年目を迎え、多数のがんが発見されてきました。
今回は平成四年度から八年度までの五年間の成績についてまとめてみましたので、紹介いたします。

 まず、受診者数は五年間で延べ39,076人になりました。
性別では、女性受診者が72.4%を占め、男性受診者は27.6%ですから圧倒的に女性受診者が多いのが特徴です。
発見されたがんは145例で男性69例、女性が76例でした。
発見率でみると男女それぞれ0.64%、0.27%と男性の発見率は女性の2.37倍ありました。
また年齢別にみると、発見率はほぼ加齢にともなって上昇していました。
自覚症状と検診発見がんの関係を見てみると、あまりはっきりした相関はありませんでした。

 直腸がんと結腸がんに分けてみると、直腸がんは男性に多く、結腸がんは女性に多い傾向を認めました。
また、部位別に発見がんのサイズをみると上行結腸、盲腸といった深部結腸で35ミリとか40ミリといった大きながんが発見される傾向がありました。
また、受診歴のない初回受診者の特徴として、がん発見率が高く、進行がんの頻度が多く、かつ精検受診率が低いことがわかりました。

 毎年受診している人はほとんどが早期がんで発見され、内視鏡的手術のみで治癒(ちゆ)する人が年々増えつつあります。
 最後に大腸がん検診で注意しなくてはいけない点は他の検診と違って便を介して病変の存在をスクリーニングする検査のため、検体を採取するという最も大切な部分を受診者本人が行わなくてはならないという特殊性があります。
したがって、便の取り方、保存法は正しく行う必要があります。
また残念ながら、偽陰性例(がんがあっても便潜血検査が陰性となること)もあるため、検査後も顕出血、便の狭小化等の自覚症状があるような場合には速やかに医療機関を受診してください。
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