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患者さんの為のQ&A

「大腸憩室症」無症状だが注意点は

合併症予防に食物繊維を

先日、会社の健康診断を受けたところ、「大腸憩室症」と診断されました。 特に自覚症状などはなく、治療なども受けていないのですが、このまま放っておいてもよいものかどうか、心配しています。 いったいどんな病気なのでしょうか。 また、日常生活で気をつけた方がよい点がありましたら教えてください。(50歳代・男性)
大腸憩室とは、大腸粘膜の一部が腸管内圧の上昇により、腸壁外に突出したもので、これが多発した状態を大腸憩室症と言います。 比較的高齢者に多い病気です。 原因としては、最近の食生活の欧米化とともに肉食が多くなり、食物繊維の摂取量が減少したため、便秘や腸管のれん縮、ひいては腸管内圧の上昇を起こしやすくなったと考えられます。  また、加齢による腸管壁の脆弱化も挙げられます。 そのほか、体質、人種、遺伝、生活環境などの要因も複雑に作用しあって発生すると考えられています。 多くは無症状のまま経過しますが、時に便通異常(下痢、軟便、便秘など)、腹部膨満感、腹痛などの腸運動異常に基づく症状を起こします。 合併症としては、憩室出血や憩室炎が10から20%の頻度で発生し、強い腹痛、下痢、発熱、血便などを伴います。 憩室炎は、憩室内に便がたまって起こるとされていますが、進行すると穿孔(穴が開く)、腸閉塞、周辺臓器との瘻孔形成(小さなあなが通じる)を生じることかあります。 症状がない場合は、特に治療の必要はありません。  腸運動異常に基づく症状がある時は、薬物の投与を行います。 憩室炎を合併した時は、入院のうえ、絶食、輸液、抗生剤の投与が必要です。 憩室出血の多くはこのような治療で止まりますが、大量出血が持続する場合は、血管遺影や内視鏡検査施行時に止血術が行われます。  保存的治療で軽快しない場合や、再発を繰り返す場合は、腹膜炎や腸閉塞の場合は外科的治療が必要です。 無症状であれば、放置しておいてよいのですが、合併症を予防する冒的で、できるだけ繊維成分の多い食事を摂取し、便通を整えるように心がけることが大切です。 合併症を疑う症状が表れた場合は、できるだけ早く消化器内科を受診してください。
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