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患者さんの為のQ&A

小腸に発がんしにくい理由は?

再生が活発で細菌も少ない

素朴な疑問なのですが、消化器のがんで、食道がんや胃がん、大腸がんはよく耳にします。 ところが、小腸がんという病名はあまり聞いたことがありません。なぜなのでしょうか。 小腸にがんが発生しにくい理由が何かあるのでしょうか。(30歳代・女性)
小腸は、十二指腸、空腸、回腸の三つに分類される管状構造をした器官です。 幽門(胃から十二指腸につながる部分)から大腸につながる回盲部まで約6メートルの長さで、腹腔の中に渦巻状に収まっています。 小腸の内側にはたくさんの輪状のひだがあり、絨毛突起という粘膜で覆われています。  その表面にはさらに細かい微絨毛があるため、小腸の粘膜の面積はおよそ畳□畳分にもなり、粘膜を覆っている細胞の数は2500億個にもなります。 この細胞は、2?3日でどんどん新しく再生されます。 絨毛突起でm生が活発で表面積を大きく広げ、消化された食物からたくさんの栄養を吸収できるようになっているわけです。  小腸がんは非常に発生率が低く、消化器官のがんの中では1%ほどで、発症年齢は70歳代以上が多くを占めます。 小腸は、粘膜の再生が活発であり、腸内細菌も少ないため、がんになりにくいと言われています。  そのため、小腸がんは新陳代謝の衰えた高齢者の方に多いようです。  小腸がんの発症はめったにありませんが、初期は貧血のほかにはあまり症状が現れず、また口からも肛門からも離れたところに位置しているため検査が難しいことなどから、がんの発症が確認された時にはかなり進行している場合が多いのです。 小腸がんの手術後の生存率は約20%と言われ、発症すると回復が難しいがんであると言えます。  近年ではダブルバルーン内視鏡が開発されて、小腸の内部を詳しく検査することができるようになり、小腸がんの検査や治療に大変効果をあげています。 小腸がんの中では、十二指腸付近に発症する小腸腺がんが多く、全体のおよそ半分を占めています。
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