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患者さんの為のQ&A

胃潰瘍2回 原因と治療法は

ピロリ菌除去や胃酸抑制

これまでに2度ほど胃から出血し、そのたびに胃カメラで検査を受けて、胃潰瘍と診断されました。 症状が軽く、放っておいたら自然に治まってしまったようなのですが、また悪化しないかと心配です。 潰瘍ができる原因や、治療方法を教えてください。(40歳代・男性)
潰瘍は、胃や十二指腸の粘膜に欠損を生じる病気であり、胃酸やペプシンという消化酵素などにより、粘膜が攻撃を受けることで発症します。 これらは日本人に特に多い病気であり、合わせて消化性潰瘍と呼ばれています。  お酒や痛み止めの薬などの粘膜を刺激する物質や、食物を消化するために過剰に分泌された胃酸やペプシンなどを、攻撃因子と言います。 肉体的・精神的ストレスも、胃酸の増加を招きます。  また、近年、攻撃因子として注目されているのが、ヘリコバクター・ピロリという菌です。 ピロリ菌が発生させるアンモニアという物質が胃粘膜を荒らすという理由から、胃潰瘍の大きな原因として脚光を浴びたのです。 ピロリ菌は、菌の保有者かどうかを調べ、陽性の場合には治療薬を1週間服用することで除菌できます。 気になる方は一度医師に相談し、詳しい説明を受けることをお勤めします。  一方、攻撃因子から胃を守るのが防御因子です。 消化管の粘膜を保護する粘液や、粘膜から分泌されて胃酸の力を和らげるアルカリ性物質の重炭酸、粘膜を健全に保つ血流などが挙げられます。 攻撃因子と防御因子がバランスを保って働いていれば胃の粘膜は健康でいられますが、攻撃因子が強すぎたり防御因子が弱まったりすると胃の粘膜は傷つき、程度が強まると潰瘍ができてしまいます。  胃・十二指腸潰瘍の治療には、戦前までは外科手術が盛んに行われていました。 胃潰瘍が胃がんの原因と考えられていたからです。 しかし、今ではそうではないことがわかり、出血が止まらなくなるなどの特別な場合を除き、手術は行われなくなりました。  現在の治療の主役は薬となり、胃酸を抑えるH2ブロッカーという薬や、胃酸の分泌を元栓から絶つプロトンポンプ阻害剤(PPI)などが登場しました。 これらを用いてもうまく治らない場合は、粘膜保護剤や組織修復剤など、防御因子を高める薬も併用され、効果を見ながら治療が進められていきます。
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