MENU

気になる症例集

ようこそ、診察室へ
胆石症は比較的ありふれた病気ですが、最近食生活の変化に伴つてコレステロールを主成分とする胆嚢結石症が増えているそうです。
今回はこの胆石症に対する新しい治療法である腹腔鏡下胆嚢嫡出術について外科の木嶋先生に聞いてみました。
「胆石症」いう耳慣れた言葉と「腹腔鏡下胆嚢摘出術」という初めて耳にする言葉がどのように結びつくのか…
さっそく、診察室へお入り下さい。

腹腔鏡下胆嚢摘出術とはどんな治療法なのですか?
一九八七年にフランスで初めて成功した新しい手術法です。
患者さんにとって非常に負担が少ないため、たちまち欧米で広く行われるようになり、一九九〇年にわが国にも紹介されました。
わが国でも多くの施設で行われるようになり、一九九二年には保険適用も認められ、広く普及してきています。

具体的に、どのように行われるのですか?
従来は腹部を大きく切開し、胆嚢を摘出していました。
しかし、この方法では腹部に小さな穴を数箇所あけ、そこから特殊な手術器具と腹腔鏡と呼ばれる「テレビカメラ」を挿入します。
術者は、テレビの画面を見ながら手術器具を操作し、胆嚢を摘出するわけです。

この方法のよい点は何ですか?
この方法の最大のメリットは、傷が小さくて済む事です。
そのために手術の後の痛みも少なく、回復も速やかです。
傷跡も目立ちませんし、入院期間も一週間程と非常に短かくて済みます。

この方法に欠点はないのですか?
残念ながら、この方法にも弱点があります。
テレビの画面を見ながら器具を操作して行う特殊な手術ですので、術者に多少の熟練を必要とします。
また、複雑な手術操作を行う事も困難です。
そのため、この手術を受けられる患者さんが限定されますし、手術の危険性も従来の開腹手術に比べてやや高くなると言われています。
時として、この方法ではどうしても出来ないため、開腹手術に変更せざるを得ない場合もあります。

ではどのような人がこの手術を受けられるのですか?
比較的症状の軽い胆嚢結石症の方が、最も良い適応です。
急性胆嚢炎や高度の慢性胆嚢炎の方、総胆管結石症の方は技術的に困難です。
心臓や肺の機能に障害のある方や、上腹部に手術を受けたことのある方も、この方法は避けたほうが良いと言われています。
しかし将来、技術の進歩や器具の改良などにより、従来できないと言われていた方たちにも、この手術の適応が広がってくる可能性が大いにあると考えられています。

竹田病院ではこの手術はやっているのですか?
当院の外科では、この方法を一九九一年から始め、現在までに百二十例以上の患者さんに行っています。
開腹手術に変更せざるを得なかった事が数例ありましたが、大きな合併症は経験していません。
患者さんにとって非常にメリットの大きな治療法ですので、今後も積極的に取りくんでいきたいと思っています。
Copyright(C) Aizu Endo Clinic All Rights Reserved.