人間にしかない病気

新聞社不明
 十月号の「僕らの過去は『大痔主』」を興味深く読んだ。 この告白座談会を一読すれば、今悩み苦しんでいる世の多くの「痔主」にとっては、とても励ましになっただろう。 我々医師も大いに参考になった。  我が国では「痔」という病気は負のイメージで捉えられているが、欧米では決して恥ずかしい病気だとは思われていない。 文中にあるように、この病気は人間が二本足で立った時から始まったものだからだ。 また我々はオギャーとこの世に生まれた時から、誰もが「痔静脈」というものを持っているのである。 ある意味では四足動物にはなく、人間様にしかない大切な病気とも言える。  神様のおつくりになった人間は、きわめて精巧ですべてにおいて無駄なものなどないが、入口と出口はことのほか大切な所である。 歯が悪くて物が食べられなければエネルギーも湧かないし、出口がしっかりしていなければ憂鬱になってしまい、仕事にも集中できず、生活が乱れてしまう。  色々な意味で個性ある四人の告白は、ユーモラスな生身の人間の勇気ある真実のこもった発言であり、我々医師にとっても、患者さんの考えや気持ちが手にとるようにわかり、あらためて勉強になった。 明日からの診療にもすぐ役立ちそうな、大変面白い好企画であったと思う。