|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
CLINIC magazine 2001.4列島横断医療NOW
日帰り手術から生まれた実践的クリティカルパスウェイ白虎隊で有名な城下町・会津若松市は大型病院がひしめき合い、病床充足率140%の"激戦地区"として知られている。えんどうクリニックは「安心とまごころの医療」をコンセプトに、この地に10床の有床診療所として開設され、はや7年目を迎える。 地元の大病院で勤務したあと、まさにゼロからのスタートだったと遠藤院長は回顧する。 前頁の略歴のとおり、遠藤院長は"痔疾治療のメッカ"と称される社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに勤務し、同病学の権威、隅越一幸男、岩垂純一両先生に師事、いわゆる「社保中」の流れを汲む専門医である。 「"社保中"出身といえども、この疾病(領域)で一人前になるにはいかに臨床の場数を踏むかにかかっています」(遠藤先生) 社保中、竹田綜合病院と、勤務医時代に痔疾手術など数多く臨床経験を積んできた。 そうした実績を背景に1998年12月から実施したのが日帰り手術(DaySurgery以下DS)で、同クリニックのセールスポイントのひとつになっている。 DSの対象疾患は脱肛、裂肛、痔痩。 しかも、軽症から中等度の病態で、基本的にはヘルシーぺ一シェントをDS対象者に限定している。 米国麻酔学会(American Society Anesthesiologists)から出ているASA分類を参考に、Class?〜?がDS対象患者に該当する。 また同クリニックでは、会津若松市内の40?圏内(車で1時間以内)の患者で、しかも術後、家族帯同でケアできることをDSの絶対条件にしている。 こうした条件を設定したことで、導入後トラブルは皆無だという。 「この地域でもDSの需要が年々増えてきました。 とくに働き盛りの30〜50代の患者さんが多いわけです。ASA分類
そのためにクリティカルパスウェイを作り、さらに徹底したイソフォームド・コンセントを基本とした情報の開示・共有化を実践しています」(同)この情報の開示・共化の担い手がメディカル・コーディネーターの存在だ。 一般的には、DSセンターの専従スタッフとして1〜2名置いているのが普通だ。 しかし同クリニックでは、徹底した教育でナース8名全員がメディカル・コーディネーターを兼務しているのが特徴といえる。 この体制でマンパワーなどの緊急な不測の事態にも備えている。 DSの導入当初は、入院在院日数の短縮化が声高に叫ばれ診療報酬上でメリットがあったものの、「現在では点数が見直されあまり診療報酬点数上のメリットはなく、むしろデメリットのほうが大きいかもしれない。 ただ点数の上昇で誘導されるのではなく患者サービスの一環としてとらえ、患者さん側にDSという医療技術があり選択肢があることをこれからも強調していきたい」と遠藤院長はDSに対する信念を吐露する。
「壁新聞」「院内報」「HP」を駆使して医療情報を発信DSに代表される医療技術のハード面をセールスポイントにする一方、医療サービスのソフト部門はアイデアマンの遠藤院長の面目躍如といったところだ。まず、外来待合室にはテレビを設置せず、"壁新聞"で医療情報を発信。 1階ホールには、主な内科系疾患のプライマリ・ケアについてわかりやすく解説したパンフなどを、大きなスペースを割いて並べ空間を演出している。 基本的には年4回、模様を変える6また、最新トピックスはそのつど新しく掲示することにしている。 入院病棟の壁新聞には、主に専門の大腸・肛門科領域疾患の解説等を掲示して患者の啓蒙にも努めている。 さらに料金表を掲示。脱肛、裂肛のDSを含めた1、2週間の入院費、痔痩の同入院費、差額ベッド料金、胃・大腸の内視鏡検査料金等々を提示している。 また、患者向けの院内報『まごころ医院新聞』を発行。 わかりやすい漢方の知識、薬の副作用など身近なテーマでアプローチしている。 アプローチといえば、ホームページの活用も忘れてはならない。 DSのメリット・デメリットなど患者にとって有意義な情報を満載し、新患獲得にも一役買っている。 サービスは情報発信ばかりではない。 手術に際し患者のリラクゼーションを誘うために有線放送の音楽を利用。 患者に好きなジャンルの音楽を選択させ、手術に伴う緊張感を和らげる効果をもたらしている。 肛門周囲だけに効く仙骨硬膜外麻酔を用いていることが、こうしたサービスを可能にしている。 「痔疾の手術の場合、腰椎麻酔が多いので、患者さんからは結構好評なんです。 演歌、ジャズ、クラシックとなんでもござれで番組表からリクエストをしてもらっています」(同) 徹底した医療サービスは情報の共有化を基本に「徹底した患者本位のサービスの提供」を全面に打ち出している同クリニック。そのためには院長、スタッフ間の医療情報の共有化が不可欠だという。 専門性を高める月2回の研修会を開催するのも、そのひとつの表れである。 と同時に、外部の講演者を招いて他領域の課題などの知見を広め、常に研鑚を怠らない。 医療情報の共有化は、患者サイドも巻き込んで成立するという考え方から、入院・外来患者、その家族を対象に月2回「健康相談会」を開いて、専門の大腸・肛門領域を中心に遠藤院長の講演を実施している。 「スタッフ間の研修会では、日常診療・ケアにかかわる専門性の高いテーマで論じ合い、機関誌にDSの論文を載せるなど実績を持っています。 一方、健康相談会では患者さん側にもある程度の医学知識を持っていただき、ともに疾患と立ち向かってもらう。 予防医学の啓蒙にも役立っています」(同) OSを含めた手術増に対応今後、増床も視野に入れて地域医療の推進は単に1施設の問題にとどまらない。同クリニックは、遠藤院長が以前に勤務していた市内の竹田綜合病院を後方支援病院にしている。 「内科、胃腸科も標擁しているので、内科系のプライマリ・ケアも診療していますが、重症度によっては病診・診診連携が必要になってきます。 すべてを後方病院に任せるのではなく、診療所でも最近は診療科の専門性を全面に打ち出しているところもあるので、得意分野を見極めて互いに連携を深めています」(同) 同クリニックでは、急増する大腸・肛門領域の手術(DSも含む)に対応するため、目下の課題として増床を考えている。 「とくに痔疾の手術希望者はペンディング状態なので、5床ほど増床したいと思っています」(同) 週2日、日帰り手術の日を設け、また新規に"便秘外来"を設置した。 専門性を掲げつつ内科系プライマリ・ケアもカバーし、斬新的で独自の地域医療を推し進める遠藤院長。 今後、どのような新機軸を打ち出してくるのか、興味は尽きない。 |