Hospitown 2002 no125胃潰瘍・十二指腸潰瘍
最近注目されているヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)胃潰瘍と十二指腸潰瘍は、消化性潰瘍とも言われます。強力な作用を持つ胃液が、自分の胃あるいは十二指腸の粘膜を消化することによって起こるものです。 原因には酒、たばこ、心身のストレス、医薬品(非ステロイド性消炎鎮痛剤)、細菌(ヘリコバクターピロリ)など、いろいろな要素があります。 それらの中で最近注目されているのがヘリコバクター・ピロリ、すなわちピロリ菌です。 ピロリ菌は、胃の中に生息している、らせん形をした細菌です。 一方の端に鞭毛と呼ばれる毛が458本付いており、活発に運動することができます。 この菌はウレアーゼという酵素を持っているのですが、この酵素を利用して周辺をアルカリ性にし、胃液を中和して身を守っているのです。 その一方でウレアーゼは、胃の中の尿素を分解し、アンモニアを発生させます。 アンモニアは活性酸素と反応し、強い傷害作用を持つモノクラミンが胃粘膜傷害を起こします。 また、ピロリ菌を攻撃するための生体防御反応である免疫反応によって、白血球が胃粘膜に集まり、炎症を起こします。 つまりピロリ菌が生み出す物質(アンモニア、モノクラミン)と、ピロリ菌に対する宿主反応(白血球など)の二つが、胃粘膜を傷つけ、炎症を起こしているわけです。 現在、40歳以上で約80%の人がピロリ菌に感染しており、その中で約3%が潰瘍になっています。 上下水道が十分普及していなかった世代の人で高くなっていることから、その発生は衛生環境と関係がある、と考えられています。 ピロリ菌による潰瘍かどうかを検査する方法には、次のものがあります。●内視鏡一胃カメラ一を使う検査迅速ウレアーゼ試験/鏡検法/培養法 ●内視鏡を使わない方法 抗体測定/尿素呼気試験/便を調べる方法 この検査結果により、ピロリ菌がいる場合とそうでない場合とで、次のように治療法が分かれます。 ●ピロリ菌がいる場合(ピロリ菌による潰瘍かどうかを検査し、ピロリ菌感染による潰瘍という診断がついた場合) 除菌療法(酸を抑える薬1種類と、抗生物質2種類を7日間内服)を行い、その後、潰瘍治療(潰瘍治療薬を8週間内服)。 4週間後に除菌できたかどうか判定検査します。 成功率は約90%ですが、再発しないというわけでは決してありません。 |