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週間文春 2004 11月11号
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肛門周囲膿傷・痔瘻 |
| 痔痩の手術は痔の手術のなかでも難易度が高いといわれる。 地方の中堅開業医、遠藤剛医師に聞いてみた。 「痔痩は肛門周囲膿瘍とセットで考えてください。肛門周囲膿瘍は痔痩の前段階で、この時点で適切に治療すれば痔痩にまで悪化させずにすむこともあります。肛門の手術で難題でもあり、重要でもあることは肛門機能を損なわないことだ。 痔痩の場合、再発しないよう感染病巣を完璧に切除することも欠かせない。 いずれにしろ手術を厄介なものにする原因は、部位の位置や構造にある。 肛門内の歯状線（直腸と肛門管の境目）には、粘液を分泌する肛門腺が全周に十数個存在し、その出口はくぼみ（肛門小窩）になっていて、ここに便中の細菌が侵入しやすい。 「肛門周囲膿瘍は、肛門小窩から入った細菌が内部で拡大感染し、肛門の周囲に膿のかたまり（膿瘍）を形成する病気でヽ膿瘍のできる場所により症状や治りにくさが異なります。 痔痩は肛門周囲膿瘍が腫れて肛門周辺の皮膚や直腸の中で自然に破れたりした結果、感染を起こした肛門内部と、肛門周辺の皮膚や直腸の中とがトンネル状につながった状態（ろう管）です。」肛門小窩の存在位置はなんと肛門機能の要たる肛門括約筋の間なのだ。 殆どのろう管は肛門括約筋を貫いて走ることになり、ろう管の除去には括約筋の一部を開かざるを得ないわけだ。 「手術は、難しくても敢行します。なぜなら手術なしには治らず、更に痔痩を長期間放置した場合、癌化する危険性があるからです」 返す返すも早期の肛門周囲膿瘍の段階で治したいところだが、その症状は、局所的な痛み、発赤、熱を伴う病的な腫れ、硬結（硬くしこる）、圧痛など。膿瘍ができた場所によっては痛みのために歩行や排尿に困難を生じ、炎症が強い場合は発熱や排膿（体外に膿が出る）がみられることもある。 |
診療は大腸・肛門の専門医に |
| 「診断は、病変部を見て、直腸指診をすればおおよそわかりますが、最近ではＭＲＩなどの画像診断も適宜利用します。 昔、痔痩け結核と関連するケースが多かったのですが、現在その心配はなく、変わって十代、二十代の若い入に痔痩をきっかけにクローン病（腸の炎症性疾患で痔痩を合併しやすい）が見つかることがあるので、これは医師側の注意点ですＬ痔痩の手術のタイミングは、肛門周囲膿瘍の炎症が鎮まってから。（炎症が激しい時に行うと、肛門の機能障害を引き起こしたり傷が大きくなったりしやすいので） 入院期間は二週間前後といわれる。 「痩管の中にゴムや糸を通して長期間留置し、痩管内部の肉が上がるのを待ちながら皮膚を切っていくシートン法が身体負担も少なく、場合によっては外来でもできる治療として数年前から注目されています。 私も、シートン法が可能とされるケースには用い、管開。放術と遜色のない結果を得ています」 なお、乳幼児にも痔痩が起こりうる。皮下の浅い場所にできるため、肛門周囲の発赤や膿によって気づくことが多い。 大部分は軽い切開と抗生物質で軽快するが、時に手術が必要になることもあり、その場合は小児の手術態勢が整ったこども病院や大腸・肛門に強い小児外科のある病院で相談を。 腕のよい専門医探しのツボとしては、専門医資格を有することに加え、研修病院をチェックしてはいかがだろう。 大腸・肛門分野で、卒後教育・臨床ともに評価の高い社会保険中央総合病院をはじめ、この分野で著名な病院で研修を受けたか、できればそういう病院で数年間勤めた医師であればお墨付きといえるそうだ。 |
