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SCOOP 2000.4 Vol.39

情報公開によるわかりやすい医療を

病床充足率140%以上という医療過密地域で、平成6年11月に遠藤剛先生は開業した。

患者さんへの情報公開を柱に、よりわかりやすい医療を推進する ことにより、徐々に患者さんからの評価が高まってきたという。
その具体例を紹介していただいた。

情報公開に力を入れた理由は

開業前は、竹田綜合病院という1,300床の大病院で肛門科の専門医として勤務していました。
いままでもそうでしたが、自分としては全身全霊を傾けて患者さんを診てきました。

夜中だろうが、何だろうが、呼ばれた手術には行く、診察には行く。
これだけ一生懸命やった。そういう自負がありました。

だから開業しても患者さんはすぐに来てくれるだろうと思っていたんです。
ところがいざ開業してみると初日の患者さんは19人。
そのうち9人は私の親戚でした(笑)。
考えが 甘かったわけですね。多額の借金を抱え、ゼロからのスタートでしたから、内心、愕然としました。
このままではいけないので、自分がどのような医療を提供できるのか、患者さんや地域の方に知ってもらうことが大切だと考え、まず医院のPR活動に力を入れることにしました。

どのような活動を展開したのでしょうか

地元の新聞やミニコミ紙などに積極的に投稿したり、取材には時間の許す限り応じるようにしました。
記事になったものをファイルして、入院患者用の談話コーナーに置いて、見てもらっています。

特合室の掲示板もフルに活用しています。
ポスターをたくさん張って、患者さんの医学啓蒙につとめ、自分はこういう疾患を診ることができるとアピールしています。
胃内視鏡があり、また人間ドックを受け付け、入院施設もあり、手術もしますと、自分ができることを、どんどん患者さんに知らせるわけですね。  

1,000人を超える患者さんに「なぜこの病院に来ましたか」というアンケートを取ったら、知人、身内の紹介、建物を見て、が圧倒的に多かった。
つまりロコミが ほとんどです。
あと、新聞、雑誌を見て、当院が行なった講演会を聞いてです。
最近ではインターネットを見てというのが徐々に増えてきております。
意外に多かったのは、電話帳の広告を見てでした。

そのほかにどのような工夫をされましたか

開業5周年を記念して、ホームページを立ちあげました。
ホームページを利用すると、誰でも気軽にアクセスでき、何となく親しみがわいてくるのではないかと思い始めました。

私のプロフィール、病院のモットー、職員の紹介などに加えて、専門である痔や大腸疾患の説明などを、写真や図入りで掲載しました。
クリニックのいい面も悪い面もすべて見てもらうため、アンケートを集計した「患者さんの声Q&A』も載せました。

また、今年の1月から「まごころ医院新聞』を創刊させ、患者さんに配布しています。  
2週間に1回、木曜日の7時からカンファレンスルームを開放して、無料の『医療相談会』を実施しています。
毎回10名から20名の方が参加します。

テーマは特に決めていなくて、外来診察中に、または回診中に私に聞きたかったけれども聞けなかったこと、恥かしいこととか、個人的な悩み、自分のこと以外の両親、兄弟のことでもいい。
何でも質問してもらう「悩み相談室」のようなものです。

正しい医療情報を患者さんに差しあげるのは、医師の重要な役目だと考えています。
医療情報を与えて、患者さんと共有するのが私の基本姿勢です。

病診連携はうまくいっていますか

田舎で開業すると、必ずしも自分の専門領域の患者さんだけを診るわけにはいきません。
開業するとき、専門の外科、肛門科に加え、竹田綜合病院で勉強した内科、胃腸科を標榜しました。

患者さんの症状に合わせて、これは自分の守備範囲外だと思ったときには、すぐに専門医に紹介しています。  
開業したての頃「きょうも紹介したので、患者さんが一人減ってしまった」と思っていたところ、ある先生より「いい先生に紹介すると、患者さんは戻ってくるもの」という言葉を聞いて、感動したことがあります。
実際にその通りでしたね。

紹介後は症状の判断など見立てが正しかったのかどうか、 紹介先の先生と必ず連絡を取り合っています。
開業前にいた竹田綜合病院に紹介するケースが多いのですが、病院とは限らず、いまは専門性を特って開業されている先生も数多くいますので、この先生は膠原病が得意だとか、脳疾患が得意だとか、循環器ならこの先生だなと診診連携も大切にしています。

患者さんには「専門外だから申し訳ないけれども紹介します」と言って、紹介状、データを特たせて、その先生の個人名で紹介しています。
患者さんから、いい先生を紹介してくれたと感謝されるのは、本当に開業医冥利につきます。

患者アンケートの成果は

患者さんからの意見を積極的に取り入れようと、特合室にアンケート箱を置いています。

1,513名のアンケートを集計した結果「当院に対する不満」の第1位は診療待ち時間(27%)で、第2位は薬の特ち時間(24%)でした。
こうした患者さんの疑問点や要望に対して、週1回の合同カンファレンスを開き、職員全員で改善策を話し合い、その結果を『患者さん の声・Q&A』というチラシにして配っています。

検査を手早く実施し待ち時間の短縮につとめたり、病棟に談話コーナーや医学文庫を設置したり、また『入院のご案内』を作成したりと、具体的な改善策も実行に移し、好評を得ています。

今後、目指す方向は

数はそれ程多くありませんが、県外や市外からも患者さんが来られますので、現在痔のオペの患者さんは3ヵ月予約特ちの状態です。

これを解消するため、日帰り手術の割合を2〜3割まで増やして、少しでも早く手術をしてあげたいと思っています。
症状が中程度の場合なら、技術的には充分可能ですし、患者さんの費用面の負担軽減にもなります。

最終的には自分のお家芸である肛門科を全面的に押し出していきたいと考えています。
そのために、患者さんが肛門科クリニックを気軽に受診できるよう、これまで以上に啓蒙活動に力を入れていきたいと思います。

遠藤 剛(えんどう ごう)
会津若松市・えんどうクリニック理事長

1959年生れ
1983年帝京大学医学部卒
帝京大学医学部第二外科大局後、千葉玄々堂君津病院、帝京大学市原病院、社会保険中央病院大腸肛門病センター、竹田綜合病院を経て1994年に開業