医師が出した診断に納得いかなかったり、他の治療法の可能性も考えてみたいときなどに、患者さんが他の医師に「第二の意見」を求めることを「セカンドオピニオン」という。
米国では今や一般的だが日本でもやっと認知されてきたところだ。

特に問題になるのはやはり「癌」の時であろう。

 日本には、患者さんがいろいろな意見を比較検討した上で結論を出すという習慣があまりないため「そんなことをしたら主治医に嫌われるのでは」と思う人も少なくない。
 一方で患者さんの多くは第二の意見を聞くだけでなく、現在の医師との信頼関係が築けず他の医師を探す目的でセカンドオピニオンを受けたいという場合もある。
患者さんの立場からすると「よい医師」に出会うことだと考えている。
そこで、いい出会いを考えてみよう。

 例えば「先生をとても信頼していますが、セカンドオピニオンを受けてみたいので、ご協力願えますか?その結果再び先生の所に戻ってきたいときは受け入れてもらえますか」と患者さんが率直に医師に言えたら、拒否する医師は少ないのではなかろうか。

 医師の立場からは患者さんの権利に触れて「納得できない事がありますか。
もしあれば、その点について他の病院の医師の話を聞くのもいい方法ですよ」と、臨床環境をバックアップできれば理想的と思うが、現実はなかなか難しいところでもある。

 しかし、実際こんな話もある。
乳癌と告知された患者さんが、乳房全摘か、一部乳房を残す温存療法かで悩んでいたときに、この方は温存療法を希望したが、その病院は乳癌手術件数が最も多い病院で乳房を残すことに熱心ではなかった。
その心をくんでその医師は温存療法を重点においている病院を探して逆にセ力ンドオピニオンを勧めてくれたという。

 再発するかもしれないが、その時また、次の選択肢を考えればいい。
患者さん自身が自らもいろいろ調べ情報を得て納得して選んだのだから、後悔がないと。

 患者さんの側も「医師まかせ」ではなく「自分の命は自分で守る」といったスタンスを確立してゆけるようになれば良いと思う。

 もう一つの原因として「セカンドオビニオン」という行為そのものが医療保険対象外になっていたが、今年の四月の医療費改正で認められたことは、医師も患者さんにとっても朗報ではないだろうか。
同じ検査を繰り返すといったことが減りそれが医療費の削減にもつながり、双方にとってメリットがある。

 最後に、セカンドオピニオンが徐々に根付いてきた今、セカンドオピニオンを専門とする医師を育成し、患者さんが十分に満足しえる時間と空間をつくることが大切ではないかと思う。

名医より良医の方が温かい