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乳幼児の便秘と裂肛

院内パンフレットを用いた指導  福島県保険協会 遠藤 剛

はじめに

裂肛は、成人例においては、病因治療法等について詳細に検討されているが、乳幼児期の裂肛については、頻度の多い疾患とされながらもその報告はあまり多くないように思われる。
成人との共通性はありながらも乳幼児の特性を念頭において治療されるべきであり、軽微な疾患として不適当な治療を施せば、いたずらに治療期間を伸ばし、患児の苦しみを増すだけである。
1996年1月より3年間に、当院に来院した乳幼児裂肛患児112名について検討した。

乳幼児裂肛の臨床像

性別頻度は、一般に男児に比べ女児に多いといわれているが、112例中男児31例、女児81例と女児が明らかに優位であった。  
112例の平均年齢は2歳11ヶ月であり、乳児が30%、幼児は56%、学童は4%を占める。乳児では3ヵ月の1例を除き全列が離乳食開始以降である。
裂肛の臨床像は、小児と成人との間に相違がみられた。

男児では急性型の裂肛、すなわち排便時痛と出血を主訴とするものが多いのに対し、女児では、肛門周囲または会陰の「シコリ」「オデキ」「何かとびでたもの」という訴えで来院する慢性型が多く、排便痛や出血を主訴に来院する例は比較的少なかった。
女児の訴えの「シコリ」などと表現されるものは、sentiner tagである。

発生部位は、前後方向がほとんどを占めており、側方は極めて少なかった。
裂肛は乳児期後半より始まり、幼少児にみることが多く、その原因は大多数の患児で硬便を含む便秘と考えられるが、便秘は本症の原因でもあり、また結果でもあるといえる。
当院で行っている便秘に関するアンケートの内容を示す。
小児では便秘を排便回数のみで規定することは妥当ではなく、母親の訴えや表現をその言葉どおりに受け取らず、十分吟味しながら問診することが治療の上からも大切である。

ごく少量の排便しかなくても毎日出ている場合、あるいは兎の便のような状態で毎日排便がある場合、水様便が少量毎日排出しているために毎日排便があると答える母親をしばしば経験する。
したがって、排便の頻度、量、性状、食事摂取量、内容などにつき正確に把握できるまで母親から問診することが、便秘の診断、原因のありか、治療方針の決定に重要であると思われる。

便秘の指導

当院で行っている乳幼児裂肛の母親に対する便秘の指導について、指導のパンフレットを参考にしながら成長にそって述べる。

離乳期1歳ころ

まず離乳期1歳ころで、この時期は、腸内細菌に割合ビフィズス菌が少ないことが考えられ、ビフィズス菌を与えるには、市販の乳酸飲料か、またビフィズス菌を活性化するメイオリゴという特殊な糖もあるので、そういったものを与えるのがよい時期といえる。

食物繊維については、それ自体にはカロリーがないので、この時期の子どもには繊維の多い食事よりはむしろ、離乳食は普通にして、ビフィズス菌をを取るように指導する。

2歳ごろ

次に2歳のころで、このころはちょうど排便がしつけられる時期で、そのしつけられ方で、ストレスが強く骨盤内の自律神経の動きがにぶくなる時期であり、このことでどうしても大腸内へ水分が多く吸収され、便が硬くなる傾向にある。
  お漏らししても、ガミガミ排便のことを怒らないようにし、水分を多めに与えるように指導する。

4歳以降

4歳以降の時制は、まずスキンシップを十分にし、気持ちを安定させ、便をおおいに軟らかくする時期である。
臓器がまだ眠っている朝、起きたてすぐに300ccくらいの、できれば冷たい水分をとらせるようにする。
食事は、カロリーもだんだん多くなるが、繊維もだんだん増やしてよいころであり、内容的には、朝食だけは必ずとらせる習慣を指導する。

水分のとりかた

炭酸が入っている飲み物だと、冑の粘膜を洗い流してしまい胃炎を起こさせる可能性がある。そこで、トマトジュースや果肉の入っているつぶつぶジュースをすすめる。「これでないとだめ」と言うと、子どもは飲まなくなるので繊維飲料だけでなく、自然の水や牛乳などをとらせるように指導する。
最近では、飲む食物繊維「ディーエフワセプン」、水溶性の食物繊維「おなかのせんい」等が売られている。

飲み方としては、牛乳やお味噌汁、ジュース等にまぜ、1日1〜2本から始める。
これは薬ではないので、効果発現までに1〜2週聞かかることをあらかじめ母親に言っておくことも大切である。

「便秘になったから薬ですませる」
「裂肛になったから軟膏や泥剤をやる」

といった安易な考えではなく、乳幼児の便秘には食物繊維だけではなく精神的なものも大いに関係しており、また時期的に食物繊維を多くとれない時期もあり、成長期に会わせてその都度年齢を考えて、若いお母さん方に指導していくことが大切である。
  また、アンケート調査によると、若いころより便秘であったお母さん方は、子どもの便秘に対する考え方があいまいであることからも、母親に対する教育が最も大切なこと、という認識を持つべきである。

(第14回医療研究集会発表演題より)