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気になる症例集

痔だと思ったら肛門癌だった

肛門病変で圧倒的に多いのは痔核である。
痔核の診断は排便時の出血、疼痛、脱出などの症状により推定でき、指診では柔らかい隆起として触知される。
しかし、表面が繊維化して硬くなっていると癌との鑑別が必要になってくる。

症例から

患者は72歳の男性、主訴は排便時の肝門痛と硬結であった。
既往歴、家族歴に特記すべき事はない。近医にて痔として軟膏や坐剤にて治療を受けていたが、症状が良くならず来院した。
局所所見としては全周に大きく内痔の脱出が見られ、特に右後方には歯状線を中心に示指頭大の潰瘍が見られ、硬結と圧痛があった。

直ちに生検を行い、組織学的には扁平上皮癌であった。
近くの病院に紹介し、直腸切除術を施行された。

主訴の主なもの

肛門癌患者の主訴の主なものは、肛門部違和感、分泌物による肛門部湿潤、出血、疼痛、排便異常などであるが、患者自身が腫瘤を解知して来院することもある。
これらの訴えのうち、出血は排便時だけでなく常時あるいは時々出血を認め、止血しにくいことが内痔核の場含と異なった点である。

また、排便異常も、頻回の排便あるいは下痢と便秘をくり返すような異常ではなく、怒責しても便が出にくいという訴えが多く、直腸癌の場合とやや異なっている。

視診・触診での特徴

視診上、腫瘤は、多くの場合に不整形の潰瘍を形成し、その辺緑には不整な堤防状の隆起を見る。
潰瘍には壊死組織を付着することが多い。
潰瘍を形成せず隆起性の腫瘤のこともある。

触診、直腸指診上は、肛門外の腫瘤あるいは潰瘍部は硬く、周囲に浸潤が認められて移動性が不良である。
管外性発育の場合でも、肛門周囲に硬い腫瘤を触知することがある。

直腸指診で硬くて周囲に浸潤し移動性の乏しい腫瘤を触れ、狭窄や潰瘍を触知する場合もあり、引き抜いた指頭に血液の付着をみることが多い。

また、肛門癌の疑われる場合は、必ず鼠径部の触診を行い、リンパ節の腫大を診ることも大切である。

注意すべき腫瘤性病変

癌と識別を要する注意すべき腫瘤性病変として、痔核以外に悪性黒色腫腫、カルチノイド、いわゆる肛ポリープ(肥厚乳頭)、尖圭コンジローム、梅毒による扁平コンジローム、平滑筋腫、皮様のう胞(dermoid cyst)などがあげられる。

また、潰瘍性病変で鑑別すべき疾患としては裂肛、クローン病に伴う潰瘍、結核性病変、梅毒性病変などがあげられる。

大切な直腸指診

直腸指診は外科、肛門科のみならず、泌尿器科や婦人科の先生方も、そして内科の先生においてもやられる大切な手技であり、何の器具も使わず視診や触診で癌とわかることもあり、稀ではあるが肛門癌は重要な病変の一つである。