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先生の医療記事新聞集

変形性膝関節症

福島民友...

中高年女性に多いあきらめず受診を

 変形性膝関節症とは、内反変形型(○脚)の人が、膝の内側に長年体重をかけ続けたことによって、軟骨や半月板が損傷した状態です。
特に50歳代以上の女性に多く見られ、つらい痛みをともないます。
根本的に治すには、手術を考慮することもあります。

■手術が必要ですか。

 根本的に治すには、手術をする以外にありません。
ただし、必ず手術をしなければならないわけではありません。
痛みの程度が比較的軽い場合には、痛みをとる対症療法でも構わないでしょう。
その代わり、それ以上症状が進行しないようにする必要があります。

 手術には、1ヵ月もしくはそれ以上の入院が必要です。
金銭的、肉体的に負担が大きいだめ、薬で痛みがとれなくなってきた時に考えればいいでしょう。
手術療法には、関節鏡視下手術、骨切り術、人工膝関節置換術の三つがあります。
関節鏡視下手術は、関節鏡視を使って関節内を清潔にします。

 骨切り術は、膝関節の真下のすねの部分を切り取ることで、曲がった足の軸を矯正し、体重のかかる部分を均等にするものです。
1ヵ月以上の入院が必要です。
人工膝関節置換術は、摩耗した膝関節全てを人工の関節に取り換える手術です。これにより痛みは100%とれます。
入院期間は1カ月程度ですが、費用は骨切り術より高くなります。

■症状を進行させないためには

 体重を少しでも減らすことです。
過体重によって膝に負担をかけたために発症したのですから、その負担を軽くしてあげることが必要です。
体重を減らすには、食事の量を少なくするのも一つの方法ですが、運動をすることが一番です。
運動をすることで、体内の血液循環が良くなり、痛みを起こす物質が取り除かれるのです。

 理想的なのは、水泳です。ただし、平泳ぎは、腰と膝に負担をかけるので、やらないでください。
泳げない人は、水中を歩くだけでも構いません。
ウォーキングは、膝に負担をかけるので、お勧めできません。

 大腿四頭筋という太ももの筋肉を鍛えるスクワットも実行しでみてください。
スクワットとは、まず直立し、上体の姿勢を保ったまま腰を落とし、また立ち上がるという運動です。
大腿四頭筋を鍛えることで、膝の曲げ延ばしが安定し、症状が改善します。

 目標は1日50回です。最初から50回は無理なので.あくまで目標と考えてください。大切なのは、毎日続けることです。
外出は、履き慣れた歩きやすい靴で。かかとが高い靴は避けましょう。

 膝に負担をかけないよう杖を利用するとよいでしょう。膝への負担を軽くするにはまず体重を減らすことです。
楽しくできて効果があるのが水泳です。水中歩行なら泳げなくてもできます。

 変形性膝関節症関節の使い過ぎや老化が原因でおこる老人性膝関節症は、関節面がすりへって変化してくるために痛みや動きが制限されて障害をきたす病気です。
中高年の方に多いのですが、約四倍ぐらい女性に多く、特に太り過ぎの方に多いのが特徴です。
初期症状は、座っていて立ち上がるとき、朝の起きがけ、階段の昇降時に痛みます。

 ところがさらに症状が進みますと、関節炎になって、関節が少しはれてきます。
これが膝に水がたまるという状態です。
以前は、特に膝の内側に痛みを訴える方が多かったのですが、生活スタイルが変化したたためか、"お皿"(膝蓋骨)の裏側の変化が多く、いすからの立ち上がり動作や、階段を下りる時につらさを感じることが多いようです。

 ところで、診察室でよく耳にすることですか、「先生、水抜くとクセになるっていうがら、おら抜きたくないなし」といわれることがあります。
私たち整形外科医は、痛みに対してなんとかしてあげたいとも思っているのですが、同時にいかにしてその関節の本来の働きを確保していくか、も大事にしております。
水がたまると膝が重苦しくなり、よく曲がらなくなります。

 三週間もすると関節の周囲の組織が硬くなって、動く範囲に制限が出てきます。
本来、少量の関節液が軟骨の栄養素として関節内で作られ、また再吸収もされます。
炎症を生じることで再吸収できず水がたまってしまうのです。
原因となる炎症が治れば水はたまらなくなります。
水がたまるのは、炎症の結果であり、決して原因ではないのです。